減価償却とは?種類(定額法・定率法・級数法)と計算式・例などについてまとめました。
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【減価償却とは】種別
固定資産を取得するために要した費用を、「費用収益対応の原則」にもとづき使用期間(耐用年数)にわたって費用として分配する企業会計上の手続きです。企業が長期間保有する固定資産(建物、機械設備など)を購入した場合、購入した年に購入金額の全てを経費として計上するのではなく、分割して1年ずつ計上することです。
つまり、その購入価額を資産として計上した後、当該金額を資産の耐用年数にわたって規則的に費用として配分します。
もし、高額な設備を購入した時点で購入金額を全額費用とすると、その年度だけ費用が大きくなり、大きな赤字となってしまい、その年度の正しい業績がつかめません。そこで、設備の利用が長期に及ぶ場合は、その費用を分散して配分しようというのが減価償却費です。
配分される金額を減価償却といい、「定額法」「定率法」「級数法」「生産高比例法」という代表的な計算方法があります。
減価償却費 | 扱い |
---|---|
生産部門で生じた減価償却費 | 製品の製造原価に含められる |
販売・管理部門で生じた減価償却費 | 販売費および一般管理費として売上高から控除 |
減価償却費は支出を伴わないため、同額だけの資金が企業内部に留保されるという財務的効果を持っています。
【定額法】計算例①
下記のような設備の当期の減価償却費を計算します。
項目 | データ |
---|---|
取得価額 | 10,000千円 |
減価償却累計額(前期まで) | 3,000千円 |
償却方法 | 定額法 |
会計期間 | 1年間 |
耐用年数 | 20年 |
残存価額 | 0円 |
① 定額法では、以下の計算式で毎年一定額を減価償却費として計上します。
(取得価額-残存価額)÷耐用年数 = (10,000-0)÷20=500(千円)
② 前期までの減価償却累計額が3,000千円なので、前期末時点で取得から満6年が経過(今期は7年目)だとわかります。
【定額法】計算例②
以下の内容で設備を購入したとき、平成30年3月31日現在の帳簿価額は何円か。
項目 | データ |
---|---|
取得日 | 平成28年4月1日 |
購入金額 | 100万円 |
耐用年数 | 6年 |
減価償却 | 定額法 |
償却率 | 0.167 |
残存価額 | 0円 |
① 定額法では、以下の計算式で毎年一定額を減価償却費として計上します。
(取得価額-残存価額)÷耐用年数 = (100万円-0万円)÷6=16.7万円
※今回は償却率が与えられているので、「取得金額×償却率」でも計算可能
② 取得日と現在までの期間は2年間なので、現在での帳簿価額は取得原価から2年分の減価償却を行った額となります。
100万円-(16.7万円×2)=666,000円
定率法の計算例
以下の内容で設備を購入したとき、3年目の減価償却費の金額は約何万円か。
項目 | データ |
---|---|
購入金額 | 1000万円 |
耐用年数 | 5年 |
減価償却 | 定率法 |
償却率 | 0.369 |
残存価額 | 10% |
定額法は、毎年決まった割合で償却していきます。
経過年数 | 計算式 |
---|---|
1年目の減価償却費 | 1,000 × 0.369 = 369(万円) |
2年目の減価償却費 | ( 1,000 - 369 )× 0.369 = 232.839(万円) |
3年目の減価償却費 | ( 1,000 - 369 - 232.839 )× 0.369 ≒ 147(万円) |
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